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2011年12月5日月曜日

Reading and Understanding the Financial Times

『日本経済新聞の読み方』という本が昔からあるが、最近、私が読んだ本 Reading and Understanding the Financial Times は、そのイギリス版といったところだろうか。

この本は、確かにイギリスの経済新聞 Financial Times の読み方を伝えているが、同時に、FT の記事を通じて金融の基礎的な知識を習得させることに力点が置かれていると感じる。本書に転載されている FT の記事はやはりイギリス関係のものが多いが、他にもアメリカや、中には日本に関する記事もある。

想定読者層はイギリスの大学の社会科学系学部の学生が中心のようで、レベルは大学生初級レベルではないかと思う。英文は平易で読みやすいが、転載されている FT の記事に限って、英文のレベルが急に上がる。

便利なことに、本書の理解を助ける公式教材が、インターネット上で無料で提供されている。一つは、最新の FT の記事を本の内容に沿って解説したブログだ。もう一つは、本の内容を簡単に解説し、補足も加えた Podcast だ。

本書を読む上での難点は、読者が FT(紙版)を持っていることを前提にしている点だ。本書には FT(紙版)を使った演習問題があるのだ。イギリスの読者の場合、1ポンドで4週間 FT(紙版)を購読できるサービスがあるが(本に明記されている)、日本はカバーしていない。もっとも、日本に居ながら FT(紙版)を購読することはもちろんできるのだが、年間10万円以上もかかるし、住んでいる地域によってはその日のうちに届かない。

[関連リンク]

※ いずれも、著者による本書や FT の読み方を解説した動画。YouTube へのリンク。

Reading and Understanding the Financial Times 1
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Reading and Understanding the Financial Times 2
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Reading and Understanding the Financial Times 3
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2010年9月29日水曜日

ショウペンハウエル「読書について」

読書について 他二篇 (岩波文庫)日本経済新聞で話題になっていたので、岩波文庫から出ているショウペンハウエルの「読書について」を読んでみた。

短い内容で、岩波文庫版では21ページしかない(関連する、同時収録の「思索」「著作と文体」を合わせても140ページほど)。しかし、現代の日本でも愛読されている。

この著作の中で、ショウペンハウエルは、ずいぶんはっきりした物言いをしている。しかし、これが本書の魅力の一つなのかもしれない。

これを読むと、大半のブログは、読む気が失せてくる。そして、古典を求めて、岩波文庫を買い続けたくなってくる(ただし、ショウペンハウエルが批判する多読を避けるために、極端に買い続けることはしない)。また、同時収録の「著作と文体」を併せ読むと、出来の悪い個人ブログなど書く気が失せてくる。もしショウペンハウエルが現代日本のブロゴスフィア(ブログ圏)を見たら、何と言うだろうか。

哲学の素養がなくても、読むことが可能な内容だ。さほど難解な内容ではないが、「著作と文体」の中には、ドイツ語の知識がなければ分からない箇所が一部にある。私はこれに続けて、『知性について』を読み始めた。

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この夏は猛暑と言われてきたが、さすがにこの頃は涼しくなってきた。寒く感じることすらある。もう熱中症の心配は、ほとんどあるまい。外出の際に水分を携帯することもなくなった。

ただ、気温の変化が少々急だ。こういう季節の変わり目は、体調管理に気をつけなければならない。これまでのように極端な薄着を続けていると、風邪でもひいてしまいそうだ。

2010年7月5日月曜日

大竹文雄『競争と公平感』

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)今話題のこの本、ようやく読んだ。書評、というより感想を書く。

この本は、競争と公平感、そして労働をテーマに、経済学の観点による小論をまとめたものだ。

多くの人の間で関心が高そうな身近な話題がいくつも盛り込まれている。それに経済学といってもやさしく書かれているため、経済学部の学生や、経済学を知らない一般の人にも広くおすすめできる。分量も特に多いというほどのものではなく、手軽に読める本だ。私としては、特に市場経済のデメリットを学校で強調されて学んできたと思われる一般の人に読んでほしい(だから、他の人がさんざんこの本を紹介しているのに、わざわざ私がこのブログで取り上げた)。また、最新の研究動向を踏まえた内容なので、私のような中途半端な知識しか持たないヘナチョコ経済学士には十分勉強になる。だいたい、せっかく経済学部で経済学的思考を学んでも、卒業後経済学の書物を継続して読まないと、経済学的思考がなまってしまってよくない。

格差や非正規、最低賃金等の問題も、本書のような経済理論や実証分析に基づく政策論議を期待する。私が大学で経済学を学んでいた頃、ある先生が「みなさんは経済学を勉強して、どの政党が言っていることが正しいのか判断できるようになってください」とおっしゃっていた。どうしてこのようなことを言う先生がいらしたかというと、経済学的に考えるとナンセンスな主張を政党が展開することがあるからだ。

著者の大竹文雄氏は、大阪大学教授。専門は労働経済学。

[文献]

◇ 大竹文雄(2010)『競争と公平感-市場経済の本当のメリット-』中公新書。

2010年3月14日日曜日

諸国民の富の性質と原因に関する研究

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)アダム・スミスの『国富論』を読み返している。かねがね読みたかった山岡洋一氏の新訳本を、奮発して買ったのだ。

『国富論』は『諸国民の富』とも言われるが、原題は An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations と言う。訳すと、『諸国民の富の性質と原因に関する研究』といったところだ。つまり、『国富論』や『諸国民の富』は、略した言い方というわけだ。

『国富論』というと、よく「神の見えざる手!」と条件反射のように言う人がいるが、実は『国富論』の中では「神の見えざる手」という言葉はない。出てくるのは「見えざる手」という言葉で、しかも本文中にわずか1回出てくるだけだ。「神の見えざる手」という言葉は、『道徳感情論』(『道徳情操論』とも)という、アダム・スミスの別の本に出てくる。

実はアダム・スミスには倫理学者の一面もあって、先ほどお話した『道徳感情論』も倫理学の本だ。大阪大学の堂目卓生教授によると、最近のスミス研究では、『道徳感情論』を『国富論』の思想的基礎として重視する解釈が主流になりつつあるそうなので(堂目, 2008)、『国富論』を読むなら、できれば『道徳感情論』も併せて読んだほうが良いのだろう。私の大学時代(経済学部)のゼミの指導教官は、「世の中、アダム・スミスの主張を誤解している者が多い。アダム・スミスは倫理学の本も出している」とおっしゃっていたものだ。

山岡洋一氏が訳した『国富論』は実に読みやすく、すらすら読みすすめることができる。だが、最近の私はいろいろなものに手を出して、中途半端に終わっている。『国富論』を読み終えるのも、いつになることやら。

[文献]

◇ 堂目卓生(2008)『アダム・スミス-『道徳感情論』と『国富論』の世界』中公新書。

2010年3月4日木曜日

本を読んでも分からない

情けないことに、本を読んでも、内容がさっぱり理解できないことが少なくない。洋書の話ではない。和書の話だ(洋書もよく理解できないことが多いが)。これでは、時間をかけて本を読んでいる意味がない。

私が理解できない本は、たいてい古典だ。古典といっても、『こわいわるいうさぎのおはなし』のような類のものは読みやすいが、私はふだんそういう本は手に取らない。

私がこれまで読んできた本の中で挙げれば、例えば、ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』や西田幾多郎の『善の研究』などは、私にとっては難解だった。もっとも、これは多少は仕方が無いことなのかもしれない。『一般理論』はもともと専門家向けに書かれたもので、出版当時は、マサチューセッツ工科大学でも理解できる者が誰もいなかったとサミュエルソンは語っている。『善の研究』は、もともと西田幾多郎が旧制第四高等学校の教師をしていた頃の講義の草案だが、この西田幾多郎の講義は、当時エリート中のエリートだった四高生にさえ難解だったと言われている(なお、私が『善の研究』を読んだのは大学1年の頃)。

この種の有名な古典は、解説書が出ていたり、何かの本で分かりやすく紹介されていたりすることが少なくない。難解な古典を少しでも理解するには、そうしたものに予め目を通したり、解説書を並行して読むなどすれば良いということを、経験的に学んだ。

ただ、それでも理解が難しいことが少なくない。何とかしたい。それとも、あまり背伸びして難しい本を読むのはやめた方がよいのだろうか。