2010年7月9日金曜日

故郷がない人

世の中には、はっきりとした故郷のない人や、自分の故郷がいったいどこなのか分からない人が存在する。

まず、「自分は東京生まれの東京育ち。だから故郷がない」という人がいる。東京一極集中が進む中、若い世代にこうした人は多そうだ。東京に限らず、例えば大阪生まれの大阪育ちで就職先も大阪という人もそうだろう。なお、私が現在住む土地は東京でも大阪でもないが、私の周辺にはこうした人が多い。生まれてから現在に至るまで、ずっと地方に残っている人たちだ。

また、子どもの頃に引越しを繰り返した人もいる。典型的なのは、親が転勤族のため、子どもの頃に全国各地を短期間に転々とした人だ。こうした人の場合、その人の故郷はいったいどこになるのか、はっきりしない。

いずれの場合も、故郷のあるなしは、生まれ育った場所や親の仕事など、本人の自由意思とは無関係に決まってくる。

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私の場合、親が転勤族だったわけではないが、子どもの頃にやはり何度か引越しをしている。このため、自分の故郷がどこなのか、はっきりしない。候補となる土地がいくつかあるが、そのうちどれか一つに絞れと言われると困る。せめて、子ども時代にその土地で過ごした期間に大きな差があれば、「ここが自分の故郷、他は第二の故郷」と分けて考えることができるのだが。ついでに言うと、同様の理由で自分の出身地がどこかも分からない。

これは、自分のアイデンティティにも影響を与えているように思う。また、五木ひろしのヒット曲「ふるさと」の一部の歌詞に共感できない(いや、これは大した問題じゃないか……)。

ただ、明確な故郷がある人をうらやましいと感じることは、私について言えばない。